人より敏感で繊細な気質を持つHSP。感情の動きもこまやかに察知するので、表情や空気を読む能力に長けていて、一見コミュニケーションを得意とする人が多いように思えます。
しかしHSPの人のなかには、HSPが原因で人から嫌われてしまうというケースもあるようです。そこで今回は、HSPという気質が理由で嫌われてしまう原因と対処法について解説します。
自分自身がHSPという方はもちろん、HSPのことが嫌いになりそう……という方にも参考にしていただけると幸いです。
目次
HSPが嫌われる理由
HSPが嫌われる理由は、大きく分けて3つです。
- 敏感すぎて付き合うのが大変
- HSPが優先されることに対する嫉妬
- 自称HSPの図々しさにうんざりしている
それぞれ詳しく解説します。
敏感すぎて付き合うのが大変

HSPは、音・光・匂い・手触り……あらゆる刺激に対してとにかく敏感です。
どのように敏感に反応してしまうか、一例をあげてみましょう。
- 飲食店に入ると周りの話し声が気になって落ち着かない
- 交通量の道路を歩くと車の音で動悸が激しくなる
- 新しい寝間着や寝具では慣れない肌触りでなかなか寝付けない
- 芳香剤やお香などの強い香りが苦手で気分が悪くなる
- 点滅するLEDランプが気になって他のことに集中できない
一見すると「そういう傾向は少なからず誰でも持っているのでは?」と思われるかもしれませんが、これらの傾向が顕著な気質を持っているのがHSPと考えると分かりやすいでしょう。
そのため、いっしょに食事に行くだとか、ライブやコンサートへ行くだとか、そういった予定が立てづらく、友好関係の輪のなかで持て余してしまうことも珍しくありません。
このケースの場合、厳密にいうと嫌っているわけではないのですが、HSPの気質が原因で疎遠になりやすいことは間違いないでしょう。
HSPが優先されることに対する嫉妬

今度は、前項で言うところの「友好関係の輪のなかで持て余す」とは反対のケースです。
集団の中に極度のHSPがいると、どこへ出かけるのにもその人の気質が基準になります。
食事の場所を決めるのにも「Aさんが落ち着ける場所を」「Aさんでも過ごしやすい部屋を」――そんな風に優先される人に対して、「どうしてAさんばっかり」とネガティブな感情を抱いたとしても不思議ではないでしょう。
自称HSPの図々しさにうんざりしている

HSPが嫌われる原因としてもっとも多いものが、おそらく自称HSPの存在ではないでしょうか。
自称HSPとは、「私はHSPだから特別扱いするべき」だとか「私はHSPだから非HSPよりも優れた面がある」といった姿勢をあらわにしている人のこと。
実際にHSPであるかどうかや、そういった思想を心の底で持っているかどうかは関係なく、それらをはっきりと公言しているかどうかが重要です。
つまり、心の底で「私はHSPだからこんなに疲れやすいんだ」と納得するにとどまらず、「私はHSPで疲れやすいんだから非HSPと同じ作業量を求めるな!」とはっきり言ってしまっているということですね。
この状況に関しては、アダルトチルドレン・ADHD・発達障害(※)などのブームに伴って認知された言葉は総じて似たような傾向を持ち合わせています。
※HSPとはまったく異なる言葉ですが、ここでは扱われ方の例として挙げています。
嫌われやすいHSPの対処法
HSPが嫌われる理由が分かったところで、続いて対処法です。
「HSPの目線から見たHSPを嫌う人への対処法」と、「非HSPの目線から見た嫌いなHSPへの対処法」という2つの目線から解説していきます。
HSP目線:HSPを嫌う人への対処法
まずは、HSPの目線から見たHSPを嫌う人への対処法です。
HSPの気質に理解を示してくれる人と付き合う

前提として、まずHSPの気質に理解を示す人と付き合うことを心がけましょう。
HSPの気質を理解してくれる人、というと大げさな気がしますが、ようするに「他人の個性を認められる人」「人との違いを受け入れられる人」「精神的に成熟している人」と考えると分かりやすいかもしれません。
人との違いを受け入れられない人に説明するのは、心をすり減らすだけです。理解してくれない人に目を向けるのはやめて、理解してくれる人に目を向けましょう。
HSPの気質をきちんと説明する

HSPの気質を理解してくれる人かどうかは、実際に説明してみなければ分かりません。
嫌われたくないから、とHSPについて説明することを渋る人も多いと思いますが、説明しなければ伝わらないのです。
他人に伝えて拒絶されるのが怖いと感じる人は、ひょっとすると大げさに考えすぎているのかもしれません。
HSPがHSPの気質について説明することは、「実はカレーあんまり好きじゃないんだ」と言うのと何も変わらないんです。
本当はカレーが好きじゃないのに、無理してカレー屋さんに付き添われたとしたらどうでしょう。仲のいい友達であればあるほど、「先に言ってよ」と思うのではないでしょうか。
「HSP」という単語を使わない

HSPの気質を人に伝えることは大切です。ただしそのとき、「HSP」という言葉を無理に使う必要はありません。
「嫌われる理由」として挙げた通り、なかには自称HSPもいますので、人によってはHSPそのものに対してあまりよくない印象を抱いている可能性もあります。
そのため、「うるさいところはちょっと苦手で……」と言うだけで十分。その時点で「これくらい平気でしょ」などとその人の当たり前を押し付ける人とは距離を置いた方が賢明です。
ただ、家族や夫婦など距離を置くことが難しい関係の場合は、知識不足で常識を押し付けてしまっているケースもありますので、「こういう人もいるんだよ」という例として、一度下記記事あたりを読んでもらうと伝わりやすいかもしれません。
HSPを他人に押し付けない

もしもあなたが「私はHSPだから」といった形で周囲に何かを説明している場合は、一旦控えることをおすすめします。
前項でも触れた通り、HSPの気質を伝えることが悪いわけではありません。
ただ、現状のHSPは客観的な事実のもとに成り立っているものではなく、あくまでも心理学におけるひとつの概念。
それはどちらかというと、「こういう人もいるんだ。わたしだけじゃないんだ」と安心するためのものであって、他人に押し付けたり振りかざすためのものではないのです。
非HSP目線:嫌いなHSPへの対処法
続いて、非HSPの目線から見た嫌いなHSPへの対処法です。
知識や認識にズレがないか確かめてみて

いまのあなたが思い描く「HSP」は、特定の誰かの印象に寄っていたりしないでしょうか?
このページにたどり着きこんなところまでご覧になっているくらいなので、「HSPともう付き合いたくない!」というよりは、本当は理解したいのに共感できなくて辛さを感じているといった状況ではないかと思います。
そんな場合は、まずHSPについて少し知見を深めてみるといいかもしれません。
HSPの基本的な特徴などについては下記記事で解説していますので、ぜひご覧になってみてください。
受け入れられないなら距離を置こう

HSPという気質について、知識を入れてみたけれどどうしても受け入れられない。気にくわない。そんな場合は、ぜひ距離を置きましょう。
無理にHSPを理解しようとする必要もありませんし、HSPをどうにかしようとする必要もありません。
そもそもHSPは生まれ持っての気質ですから、他者が介入してどうにかなるものではありません。(考え方次第で生きづらさを軽減・解消することはできますが、敏感な人が鈍感になれるわけではありません)
距離を置き、極力関わらないようにすることがお互いにとって最善です。
まとめ
HSPの人が嫌われる理由と、その対処法について解説しました。
HSPの目線と非HSPの目線の両方を取り上げたため、かえって分かりづらかったかもしれません。疑問に感じる点や、より詳細に確かめたい部分がありましたら、SNSやお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
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